2016年中間の世論づくり


2016/4/25  一連の申し入れ活動の締め括りとして、大学の軍事研究に反対する二団体が共同で記者会見をした
2016/4/25  一連の申し入れ活動の締め括りとして、大学の軍事研究に反対する二団体が共同で記者会見をした


やったぞ! 応募が激減! 世論が効いた!   防衛省資金への応募(昨年109件→2016年は44件)

私たちの運動もあり、防衛省資金への2016年の応募が半減しました。(東京新聞 2016/8/15参照)



【声明】2016/8/1 私たちは軍学共同に反対して闘い続ける

 【声明】(2016/8/1) 

私たちは軍学共同に反対して闘い続ける

 

2016年度「安全保障技術研究推進制度」の採択結果の発表にあたって―

 

  

さる729日、2016年度の防衛省「安全保障技術研究推進制度」の採択結果が発表された。これについていくつかの注目点・問題点を指摘し、私たち軍学共同反対連絡会準備会は引き続き闘い続けることをここに表明する。

 

最大の注目点は、今年度の応募数が44(大学等23件、公的研究機関11件、企業等10件)と、昨年度の応募数109大学等58件、公的研究機関22件、企業等29件)に対し、激減したことである。

制度発足2年目で昨年度より研究者層に浸透していること、今年度は年間3000万円以下のAクラスと1000万円以下のBクラスに分けて応募しやすい条件を整えたことを考えれば、応募者が増加すると予想された。だが、案に相違して昨年の半分以下となったのである。

 

 

その理由として、軍学共同の危険な側面が広く社会的に認識されつつあることが挙げられる。それはすなわち、日本国憲法の平和主義の精神がなお強く社会に根づいていることを意味する。

  

さらに、大学を軍事の下請けにする軍学共同の危険性を広く伝え行動してきた私たちの運動が一定の功を奏したと解釈しても構わないだろう。また、昨年の春から秋にかけて日本全土を大きく揺るがした、「安全保障関連法案」に反対する運動も、研究者たちに大きな影響を与えたであろうことも考えられる。一部の全国メディアや地方紙の誠実な報道も、科学者に今ひとたび熟考する機会を与えたと推測する。この制度は研究者からそっぽを向かれたのである。

  

私たちは応募数がゼロになってこの制度が立ちいかなくなるまでを目指している。これが、今の安倍自公政権のもとで、軍国主義化へ暴走していることへの、大学人の最大の反撃となると考えるからである。私たちはなお一層の軍学共同反対運動を広げる決意である。

  

本声明発表にあたり、改めて大学教員、研究者、そして市民の方々に訴えたい。 

まず、軍学共同を考えている研究者は、研究費の不足を安全保障技術研究推進制度により解消しても、それは研究者としての人生を狂わせるものでしかありえないことを知るべきである。防衛省は、原則公開や、デュアルユースなどのソフトな語り口で軍事研究に誘いかけている。だが、行き着く先は独善的な御用学者に堕することである。研究結果の発表には防衛装備庁の同意なり承認を得ることが必須であり、それは必ず秘密研究に結びついていく危険性が高い。その結果、研究成果を研究者仲間に知られないまま学会からは消えてゆく運命にある。また、採択されるような応募書類を書くことになり、防衛省に媚びる軍事技術にのめりこむ思考回路にはまり込む可能性も否定できない。心身ともに軍事研究に染まっていくのである。

 

 採択が決まった大学教員は、その研究に学生や院生を巻き込んでゆくことは必至であろう。これによって軍学共同を当然とする若手研究者が出現するようになり、大学は内部から蝕まれていく。この問題は教員だけではなく学生や院生の問題でもあり、大学内で彼らの意見も尊重されねばならない。また個々の研究者の「研究の自由」という問題ではなく、大学の研究や教育のあり方の本質に関わる問題として、大学全体で議論すべきである。

  

日本学術会議において「安全保障と学術に関する検討委員会」を立ち上げた大西隆会長は、私見としながらも、かつての決議を出した時期から条件が変わり、個別的自衛権のための基礎研究は是認されると繰り返し発言している。この言葉ほど空疎な言葉はない。まず明確に言っておかねばならないことは、学術の世界には「誰のための、何のための学問研究か」と守るべき学術の原点というものがあり、それは世間や社会の条件変化とは無関係であるということである。それが研究者・学者としての矜持であり、それを失って社会に迎合していくようでは学者としての資格はないと言えよう。

 

 さらに今政府は、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、立憲主義を踏みにじって安全保障関連法まで「決めて」いる。もはや防衛省の軍事研究は個別的自衛権の枠内に収まらない。ポーランドに侵攻したナチス・ドイツや、中国大陸において展開した日中戦争すら、軍事政府は「防衛戦争」と言ったように、侵略戦争すらも「自衛・防衛」の名で開始されたことを思い出せば、この一点の無知と妄言をもってしても軍学共同の危険性や問題点が一層明らかとなる。加えて、41日に閣議決定された政府答弁書では、「憲法の枠内では核兵器の保有および使用が禁止しているわけではない」との驚くべき内容を含んでいる。このままゆけば核兵器開発の研究すら「自衛の名において」行いかねない。

  

私たちは、2016年度研究課題が採択された5大学(北海道大学、大阪市立大学 、東京理科大学 、東京農工大学 、山口東京理科大学)およびその直接の申請者に強く抗議の意思を表明するとともに猛省を求めたい。また昨年度に採択され、本年も継続している4大学(東京工業大学、東京電機大学、神奈川工科大学、豊橋技術科学大学)に対しても同様である。科学者としての誇りと節操はどこへいったのであろうか。大学の研究者としての倫理規範が鋭く問われているのである。研究所や企業の研究者も同様である。今回採択された家電等をつくる企業も、軍事に傾斜し「死の商人」企業となっては、いずれ消費者・国民からの強い反発を招くことを覚悟すべきだろう。

  

2016年度採択が決まった段階にあたり、私たち軍学共同反対連絡会準備会は、大学教員・研究者はもとより、広く平和を愛する国民・市民の方々も、軍学共同に携わろうという研究者に、そして当該大学に、抗議の声をあげられるよう訴えるとともに、「安全保障技術研究推進制度」への申請がゼロになるまで引き続き闘い続けることを再度表明する。

  

 

2016年 81日                    軍学共同反対連絡会準備会

 

                      世話人:池内了、野田隆三郎、香山リカ 

 

  


来年はゼロにすべく、2016年に応募した5大学に抗議の電話、手紙、メールを!

 お蔭さまで、今年の防衛省軍事研究公募への応募は44件で、昨年の109件と比べて激減したことはすでにお知らせしました。私たちは、これがゼロになることを目指して引き続き頑張る所存です。
 今年、応募・採用された大学は以下の5大学です。現在、これらの大学に抗議のメールを集中する行動に取り組んでいます。大学も国民の声には敏感になっています。お手数をおかけしますが、以下の宛先に抗議のメール、手紙を送っていただけませんでしょうか。数が大切です。どうぞよろしくお願いします。

(「大学の軍事研究に反対する署名運動」 事務局 野田隆三郎) 


あて先(学長直でないアドレスもありますが、学長宛に送れば届くでしょう)

北海道大学総長  山口 佳三様    hisho@jimu.hokudai.ac.jp

060-0808 北海道札幌市北区北8条西5丁目 電話:011-716-2111
東京農工大学長   松永 是様  genaf@cc.tuat.ac.jp

183-0057 東京都府中市晴見町31 電話:042-367-5504
東京理科大学学長 藤嶋 昭様  koho@admin.tus.ac.jp

162-0825 東京都新宿区神楽坂13 電話:03-3260-4271)
大阪市立大学学長  荒川哲男様  https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/contact/form/hojin

558-8585 大阪府大阪市 住吉区杉本3−3−138  電話:06-6605-2011)
山口東京理科大学学長  森田 廣様 https://www.tusy.ac.jp/information/contact.html

756-0884 山口県山陽小野田市大学通1丁目11 電話:0836-88-3500


(メール文例)
貴学が防衛省の軍事研究公募に応募・採用されたことに強く抗議します。
大学の研究成果は平和のために役立てるべきで、軍事に利用してはなりません。大学は国民の期待を裏切らないでください。



応募大学への申し入れ活動の合同記者会見


2016/4/25  一連の申し入れ活動の締め括りとして、大学の軍事研究に反対する二団体が共同で記者会見

約9000名の署名を携え、18の大学への申し入れ活動を終えました。(詳細別記) 

「大学の軍事研究に反対する署名運動」の会と、「軍学共同反対アピール署名の会」との二団体は、4/25、合同で日本記者クラブで記者会見を開きました。 

2016/4/26付け 東京新聞記事



豊橋技術科学大学の 大西隆学長(日本学術会議会長)が「多目的」と言い訳

「軍事研究」の反対署名を受け 豊橋技術科学大学が会見

   (2016年3月23日名古屋テレビの「メ~テレ」より引用)

 

 防衛省から研究費を受け取ったことについて、「軍事研究」にあたるとして、約9000人の反対署名が集まったことを受け、豊橋技術科学大学が会見しました。

 

豊橋技術科学大学は、防衛省が自衛隊の装備などへの応用が期待される研究に対し研究費を支給する制度で、有毒ガスなどを効果的に吸着する繊維の研究が採用され、年間約470万円を受け取っています。これが「軍事研究になる」として、約9000人の反対署名が提出されたことを受けて会見した大西隆学長は、「研究は多目的に使われる。それ自体は攻撃的な兵器ではないという観点で、応募することを承認した」と述べました。(引用 終わり) 

(注)採択された研究テーマは「化学吸着が可能なナノファイバー」。

 

科学研究の成果は平和のためにもまた、戦争のためにも利用されうる。

研究成果は戦争のためには使わせないというのが学者の良心、モラルではないのか。


防衛装備庁がH28年度新規公募を開始!

防衛装備庁は2016/3/23~5/18として28年度新規公募を開始しました。 応募しないよう、今、全国の大学に働き掛けることが大切です。




日本学術会議に50年声明及び67年声明を遵守し軍事研究解禁を行わないよう求める要望書

-日本学術会議に50年声明及び67年声明を遵守し軍事研究解禁を行わないよう求める要望書

 

2016年7月 日

 日本学術会議 会長 大西 隆様

安全保障と学術会議に関する検討委員会委員長 杉田 敦様

安全保障と学術会議に関する検討委員会委員 各位

   日本学術会議に50年声明及び67年声明の遵守を求める署名運動

 

 

 前の戦争において科学者が戦争に全面的に加担したことに対する痛切な反省のもと、日本学術会議は1950年と1967年の二度わたって軍事研究との断絶を誓う声明を発表しました。

 

ところが、驚くべきことに、昨年の防衛省の軍事に関する研究の初の公募に、日本学術会議会長の大西 隆氏が学長を務める豊橋技術科学大学が応募し、採用されました。私たちは会長自らが上記学術会議声明を破ったことに強く抗議します。

 

さらに今回、大西会長により「安全保障と学術に関する検討委員会」の設置が提案され、理事会において設置が決定されました。私たちはこのことが上記学術会議声明の禁止した軍事研究の解禁につながることを強く懸念します。

 

当該検討委員会設置の提案書には審議の必要な理由として、以下の二つの事項が書かれています。

 

1「近年、軍事と学術とが各方面で接近を見せている。その背景には、軍事的に利用される技術・知識と民生的に利用される技術・知識との間に明確な線引きを行うことが困難になりつつある」また

 

2「(50年及び67年決議以降の)状況の変化等を踏まえ日本学術会議としても、安全保障に関わる事項と学術のあるべき関係について我が国の学術界が採るべき考え方を改めて検討する必要がある」

 

私たちは、まず最初に、この審議の必要な理由について疑問を呈します。

 

1の「軍事的に利用される技術・知識と民生的に利用される技術・知識との間に明確な線引きを行うことが困難」なことは決していまにはじまったことではありません。科学研究の成果は常に、利用の仕方次第で、人類を幸福にもまた不幸にも導く二面性を持っています。どのような利用を許すかは学者の良心・節操の問題です。50年及び67年声明は学者の良心の発露として科学研究の成果が軍事に利用されることを厳しく戒めたのでした。

 

大西会長は、これまで繰り返し、「学術会議の両声明は堅持している」と述べています(毎日新聞2015年12月24日夕刊)。そうだとすれば、大西会長は67年声明と同様に、軍事と民事の区別が一段と困難になっているいま、科学研究の成果が軍事に利用されることのないよう一層の注意を喚起すべきなのであって、軍事と民事の区別が困難になったことを理由にどこまで軍事利用を認めるかを検討するというのは筋が通りません。

 

次に審議の必要な理由の2ですが、要するに我が国をとりまく安全保障環境が以前と比べて格段に厳しくなっているから自衛のためにどこまで軍事研究が許されるか検討するということでしょう。 想い起こすべきは、1930年代後半から1940年初めにかけての日本の安全保障環境も、米英との対立で現在以上に厳しかったことです。先の大戦は日本の安全保障を脅かす鬼畜米英を撃つ聖戦とされ、科学者もそれに全面的に協力しました。戦後、その聖戦への協力が痛切な反省を呼び、50年及び67年の軍事非協力を誓う決意表明を生んだのでした。

 私たちは今回、安全保障の名のもとに、軍事研究の解禁を図ることは過去の過ちを繰り返すことにつながるものと強い危惧を表明します。両声明を生んだ先人たちの熱い思い、反省を無駄にしてはなりません。人類の平和と幸福に貢献すべき科学の普遍的使命を時の政治情勢によって忽せにしてはなりません。戦争への流れが強まっている今の時代にこそ、日本学術会議は科学の成果を軍事に利用させないという強いメッセージをあらためて発信すべきです。

 私たちは検討委員会の審議においては、50年声明及び67年声明が

文字通りに堅持され、安全保障の名のもとに両声明に風穴が開けられることのないよう、そして軍事研究解禁に道が開かれることのないよう強く要望します。

 

  以上 

 

日本学術会議に50年声明及び67年声明の遵守を求める署名運動       

 

署名運動実施団体  大学の軍事研究に反対する会

  事務局長 野田隆三郎(岡山大学名誉教授)

http://dgunk.exblog.jp/

 

 


科学者の憲法9条(日本学術会議50年声明及び67年声明)がいま、危ない!見直しに反対する署名にご協力を!

 

                       大学の軍事研究に反対する会

日本学術会議は日本の科学者を代表する最高機関です。日本学術会議は前の戦争で科学者が戦争に全面的に協力したことへの痛切な反省のもと、1950年及び1967年の二度にわたって、軍事研究との断絶を誓う声明を発表しました。言わば、これら両声明は科学者の憲法9条と言うべきものです。ところが、いまこの両声明が、重大な危機に瀕しています。

昨年、大西 隆日本学術会議会長自らが学長を務める豊橋技術科学大学が防衛省の軍事研究の公募に応募し、採用されるという驚くべきことが起こりました。

 

 

そして今回、その大西会長の提案により「安全保障と学術に関する検討委員会」という名の委員会が学術会議に設置され、50年及び67年声明の見直しが検討されようとしています。背後には大学等における軍事研究推進を目指す政官財の強力な後押しがあります。両声明見直しは、大学における軍事研究推進にお墨付きを与えることになります。見直し反対の多くの市民の声を日本学術会議に届けましょう。下記の要望書への賛同をお願いします!

 

「 署名運動呼びかけ人」

 

浅田 明  信州大学名誉教授     

足立 昌勝 関東学院大学名誉教授

池住 義憲 立教大学教授       

石原 昌家 沖縄国際大学名誉教授 

内田 博文 神戸学院大学教授、    

神沼公三郎 北海道大学名誉教授    

川崎 健 東北大学名誉教授 海洋学  

木村 忠彦 千葉大学名誉教授 物理学 

栗山 次郎  九州工業大学名誉教授  

小寺 隆幸 京都橘大学教授 原爆の図丸木美術館理事長

柴田 徹 青山学院大学名誉教授 物理学 

高實 康稔 長崎大学名誉教授     

高塚 龍之 岩手大学名誉教授     

椿 淳一郎 名古屋大学名誉教授    

寺尾 光身 名古屋工業大学名誉教授  

豊島 耕一 佐賀大学名誉教授     

野田隆三郎 岡山大学名誉教授     

吉田 千秋  岐阜大学名誉教授

 

 

 

 



関連報道


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抗議メール先

ki-kousyagaku-kouhou@office.osaka-u.ac.jp

大阪大学総長 西尾章治郎様 

 

(参考)アメリカ海軍のレーザー兵器

 

https://www.youtube.com/watch?v=2bfYOE_z8bY

2016/8/28付け 東京新聞 

 



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